今まで説明してきました四診(望診・聞診・問診・切診)という中医学独特の診察法によって集められた情報は、中医学の理論をもとに分析され病気の性質・部位・身体の抵抗力の状態などを判断することに使われます。 このことを「弁証」といい、この弁証によって得られた結論から治療の方向を検討して、どういう養生の仕方がよいのか・どういった漢方薬を使えばがよいのかなどを決めます。……
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第83回 「腹診でわかること」
中医学の腹診のやり方は、まず始めに腹部全体を手のひらで軽く押してみてお腹の筋肉などの弾力の程度を診ます。腹部が充実して腹筋の力が強いものは「実証」という体力が充実している状態を示し、反対に腹筋が弱々しく柔かいものは「虚証」という気力や体力が不足している状態を示しているとされています。 また、腹診の症状として特徴的なものに、心下痞硬(しんかひこう)と胃内停水(……
第82回 「脈診3 妊娠判別法」
正常な脈の状態は「平脈」といい、脈の位置は浅くも深くもなく、脈拍は速くも遅くもなくゆっくりと穏やかで力強くリズムも規則正しいものです。また、平脈は年齢・性別・体質・精神状態などによっても、いろいろと影響を受けやすいものです。 例えば、若い人では力強い脈を示しますが老人になってくると脈もだんだん無力になってきますし、やせている人では浮脈の傾向が太っている人では……
第81回 「脈診2 内臓の病気」
前回の脈診の続きです。まず、指の位置が決まったら、3本の指で脈を軽く押さえて診ます。(これを「浮取」といいます) 次は、指に力を入れて骨につくまで脈を押し深い部分の脈を診ます。(これを「沈取」といいます) さらに、指の力を徐々に抜いていき浮取と沈取の真ん中ぐらいまで指の位置を戻し、この部分の脈を診ます。(これを「中取」といいます) 健康な人の脈の場合、中取が……
第80回 「脈診1 触ればピタリと当たる」
切診とは、患者さんの身体を手でさわって調べる中医学独特の診察法です。主に、脈診や腹診という方法が中心になりますが、身体のむくみや痛み・乾燥・寒熱・腫れ・硬軟なども直接手でさわって確かめます。 一般に、脈を診るというと1分間の脈の数を計ることを指しますが、中医学では脈数のほかに脈の強さなども診ます。さらに、右手の脈で肺・脾・腎の状態を、左手では心・肝・腎の状態……
第79回 「問診6 女性編」
生理に関することは、女性の身体の状態を知るために必ず聞かなくてはいけない重要事項です。月経の周期や色・量・塊の有無など、くわしく聞き出し分析していくことで病気の原因や対処の仕方がいろいろと見えてきます。 例えば、生理痛の場合、生理前あるいは生理中にお腹が張って痛むときは気の流れが悪くなって血液がうまく流れていないためと考えられますから、気の流れをよくすること……
第78回 「問診5 ウサギとバナナ」
中医学では、尿や便の回数・量・状態・色なども体調を知る重要な手がかりになることがあります。 例えば、色の薄い尿が大量に出たり夜中にトイレに何回も通う場合は気力不足か冷えが原因のことが多く、ひどくなると尿モレや失禁も起こりやすくなってきます。また、尿の量が少なく色が濃い場合は、身体に発熱や炎症があることを示しています。 気をつけなければいけないのは、小便が赤色……
第77回 「問診4 急がば回れ」
頭が痛くなったり治まったりしながらグズグズ続く慢性の頭痛は、足腰の弱り・気の弱り・冷え性・気血の不足など何かが弱ったり不足している状態が原因の場合があると中医学では考えています。 例えば、足腰の弱りが原因と考えられる場合では頭痛の他に耳鳴り・めまい・腰がだるいなどの症状が現れたり、気の弱りや不足が原因として考えられる場合には疲れるとますます頭痛がひどくなると……
第76回 「問診3 汗を診る」
汗のかき方でも、身体の状態を知ることができます。 例えば、寝ている間だけ汗をかくことを盗汗(とうかん)と呼びますが、中医学では陰虚(体液不足)の状態になっていると考えます。こんなときは、口の渇き・手足のほてり・のぼせ・不眠・寝つきが悪いといった症状も現われやすくなります。 また、何もしなくても汗が滲み出ることを自汗(じかん)といいます。身体を動かすと、さらに……
第75回 「問診2 熱を診る」
問診の中で大切なことは、寒熱・汗・痛み・耳・目・睡眠・食欲・大便や尿などの現在の様子をいろいろと把握することです。 カゼの場合でも発熱や悪寒がどうであるかを聞くことで病気がどの程度進んでいるかが分かります。例えば、発熱と悪寒がともにある場合は、病気は身体の表面の部分にありまだそれほどひどい状態でないと判断します。発熱か悪寒のどちらかだけがある場合は、病気が身……