腕を上下に動かしたり回したり、肩が柔軟な動きができるのは、肩の関節が完全に固定されていないからです。しかし、そのぶん大きな負荷が掛かるとはずれたり、障害を起こしやすい欠点があります。それを防ぐため、骨の周囲は筋肉や靱帯などが肩の関節をしっかりと保護する構造になっています。

肩の痛みを引き起こす最大の要因は長時間、同じ姿勢を取り続けることです。もちろん、老化による筋肉の衰えや軟骨の減少、精神的なストレスなども影響します。また、なで肩や猫背などの肩の筋肉量が少ない体質の方、冷え症で血の流れの悪い方なども肩の痛みが出やすいと云われています。

 
◆ 肩の痛みの原因になる病気

肩の痛みを引き起こす代表的な病気に、肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)と筋肉痛(頸肩腕症候群)いわゆる肩こりがあります。
 

「肩関節周囲炎」四十肩五十肩とも呼ばれています。老化による肩の関節や靱帯などの変化によって炎症が起こり、痛みが出る病気です。突然、激しい痛みやしびれが起き、腕を動かした時だけでなく安静時にも強い痛みが続きます。痛みは半年程でやわらいできますが、肩の関節の動きが悪くなり、腕を上げたり肩を回したりする動作にも支障をきたすようになります。40~50代の世代に多く発症しますが、肉体の老化だけでなく、ストレスやホルモンのバランス、血流障害なども影響していると考えられています。長時間同じ姿勢を続けない、冬や冷房などによる肩の冷えを防ぐことで、痛みを軽減することが可能です。

 
「頸肩腕症候群(肩こり)」肩の筋肉痛の代表的なものです。デスクワークや車の運転など、同じ姿勢を長時間続けることで肩周辺の筋肉が疲労し、血流が悪くなって引き起こされます。男性よりも、なで肩で筋力が弱い女性に多くみられますが、最近では精神的ストレスから発症する人も増えてきているようです。同じ姿勢を長時間続けない、重い荷物は肩に掛けないように心がけましょう。また、肩関節周囲炎と同様に、痛みがやわらいできたら積極的に肩を動かすようにしましょう。

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虎ノ門漢方堂アドバイザースタッフ
城戸常雄 医学博士(京都大学医学部卒、元アメリカ国立衛生研究所)
城戸宏美 看護師・登録販売者(福井県立大学卒、元福井大学医学部付属病院)