わが国でも、白血病の治療に骨髄移植が行なわれておりますが、移植後に問題になるのは拒絶反応で、これを上手に抑えないと移植された骨髄細胞が定着できず、患者さんは亡くなってしまいます。 日本では拒絶反応を抑えるために免疫抑制剤のシクロスポリンとステロイドの組み合わせがよく使われますが、それと同じ効果がサリドマイドにもあることが分かっています。 サリドマイドが免疫を……
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第193回 「黄泉がえり」
ハンセン病の激痛の苦しみから患者さんを救う薬としてサリドマイドは再び甦りましたが、その外にも全身性エリテマトーデス・ベーチェット病・エイズによる潰瘍などの難治性の皮膚粘膜病変にも有効なことが 現在では分かっています。 また、サリドマイドはハンセン病の治療薬として承認された年に、骨髄腫の治療薬としての認可もFDAから与えられています。骨髄腫はガンの中でもとりわ……
第192回 「神様からの贈り物」
サリドマイドは、日本のほかヨーロッパなどでも被害児を出しましたが、驚くべきことにアメリカではほとんど犠牲者を出しませんでした。 何故なら、FDA(米食品医薬品局)薬剤評価センターの審査官F.C.ケルシー女史が、サリドマイドの毒性のデータの不備に早くから疑問を抱き継続審査を行なっていたためです。 彼女が資料の不備を指摘し医薬品として承認しなかったことに対して、……
第191回 「悪魔の薬」
副作用の問題が一筋縄でいかないのは、いくつかのやっかいな理由があるからです。例えば、副作用が出現するのに、かなりの時間を要したり、本人以外に副作用の影響が出たりする場合もあったりします。 「サリドマイド」という有名な薬は本来、てんかんの薬として開発されたものですが、早く深い眠りにつけるということや副作用が少ない。また、大量に使用しても死亡することがなく睡眠薬……
第190回 「皮膚科の I 先生からのお手紙」
地方病院の皮膚科に勤務されているI 先生という読者の方から、先日お便りをいただきました。 I 先生によれば、現状では半分以上のステロイド外用剤は皮膚科以外で処方されているものだそうです。また、ダラダラと弱いものを長く使い続けるだけでなく、反対に強めのステロイド外用剤で治療の期間を短くするほうがよい場合もあるということです。 それはまったくその通りで、弱いもの……
第189回 免疫抑制剤の落とし穴?
どうしても人間は新しいほうへ関心が行きがちなものですが、新しい薬の場合には効き目だけでなく副作用のほうにも特に気を配らなければならない必要があります。何故なら、副作用でもすぐに現れる場合と 長期間してから出現してくる場合とがあるからです。 プロトピックという免疫抑制剤を応用した軟膏のことを前回にもこのコラムで書きましたが、この軟膏の成分であるタクロリムスは、……
第188回 中医学にも、危険な副作用が・・・
現在、皮膚科ではアトピー性皮膚炎の患者さんに「プロトピック軟膏」という免疫抑制剤を応用した軟膏を使用する場合が増えてきているようです。 この軟膏にはステロイド外用薬の副作用である、皮膚の萎縮や毛細血管の拡張・薬剤への依存性・中止後のリバウンドが少ないことなど、ステロイドの外用薬にはないすぐれた特徴があります。また、正常な皮膚から吸収されにくく、目の周囲にも比……
第187回 アトピーは、なぜ夜に痒い?
以前に述べた副腎の萎縮による副腎皮質の機能不全のほか、ステロイドの副作用としてよく知られているものに、消化性の潰瘍が出来やすくなる・神経症やうつ症状などの精神症状が出やすくなる・カリウムが異常に減少して筋肉の収縮が正常に出来なくなり心不全が起きやすくなる・免疫の抑制作用により細菌やウィルスなどに対する抵抗力が弱くなる・骨粗しょう症が起こりやすくなるなどがあり……
第186回 手を洗わないと、毛が濃くなる?
ステロイドの内服薬に比べると、外用薬のほうは副作用の心配をそれほどしなくてよいといわれていますが、アトピー性皮膚炎の場合では外用薬でもそう簡単に考えることは出来ません。 なぜなら、ステロイドの効果が弱くても、またステロイドの含有量が少なくても、塗る範囲が広かったり、塗る回数が多ければ全体的にはかなりの分量になってしまうからです。 特に、アトピー性皮膚炎のよう……
第185回 止めたら危険! ステロイド
「アトピービジネス」などの影響で、ステロイドは必要以上に悪者扱いをされていますが、もともと私たち人間の身体の中に存在する物質で、腎臓の上についている副腎皮質から分泌されるホルモンの一種です。 私たちの身体は、神経系と内分泌系という主に二種類の命令系統によって支配されており、神経系は神経線維を通して素早い命令の伝達を行なっています。 しかし、内分泌系は神経系と……