わが国でも、白血病の治療に骨髄移植が行なわれておりますが、移植後に問題になるのは拒絶反応で、これを上手に抑えないと移植された骨髄細胞が定着できず、患者さんは亡くなってしまいます。

日本では拒絶反応を抑えるために免疫抑制剤のシクロスポリンとステロイドの組み合わせがよく使われますが、それと同じ効果がサリドマイドにもあることが分かっています。

サリドマイドが免疫を抑制する仕組みは、「腫瘍壊死因子(TNF)」という細胞間の情報伝達物質の合成を阻害するというものです。※有名なインターフェロンも腫瘍壊死因子と同じく、細胞間の情報伝達物質の一種です。

腫瘍壊死因子は白血球の仲間であるマクロファージから分泌され、ガン細胞の遺伝子をバラバラにしたり、ガン細胞に血液を供給する血管を壊すという方法でガンを攻撃します。※ガンやエイズの末期など
腫瘍壊死因子が増え過ぎた場合には、貧血・食欲不振・全身性発熱・体重減少など「悪液質」と呼ばれる症状が逆に引き起こされます。

サリドマイドが移植の場合の免疫抑制剤として有効と考えられているのは、移植された細胞がガン細胞と同じように免疫細胞に「異物」と認識されて、腫瘍壊死因子の攻撃を受けることを防いでくれるためです。

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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)

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