ガンが患者を死に至らしめるのは、ほとんどの場合が転移によるものです。転移したガン細胞が脳や肺・肝臓・骨などの重要な部分に転移増殖して致命的なダメージを身体に与えます。 もし、ガン細胞が転移せずに局所的な部分にとどまっていれば、いくら大きくなったとしてもそれほど怖い病気ではありません。 また、抗ガン剤や放射線などでガン細胞が縮小したという話もよく聞きますが、い……
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第201回 「薬剤師は見た!」
今から30年ぐらい前に、アメリカでは「米国ガン法」という国を挙げてのガンを撲滅しようとする運動が制定されました。その頃、私は中学生ぐらいでしたが、新聞や雑誌の新年の座談会などで、「10年後や21世紀には ガンの特効薬が発明されてガンは不治の病いではなくなるだろう」といった話が、毎年のように力強く掲載されていたことを覚えています。 おそらく、世界一の大国である……
第200回 平均寿命58歳の仕事とは?
先日、NHKのテレビ番組で、地方病院での慢性的な医師不足の問題が取り上げられておりました。一般に、医師は高い給料をもらって仕事も楽そうだと思われていますが、現実にはそうでない場合も多いものです。私は、この番組を見ていて、地方病院で患者さんのために奮闘されている読者のI 先生の姿を思い浮かべました。 また、世間一般の人たちや新聞・テレビなどのマスコミは、医師や……
第199回 「自己責任」の時代?
今年の春は、夏のように暑くなったり冬のように寒くなったりを何度も繰り返し、カゼになられた方がどうも多いようです。 こんな時は、早めに風邪薬を飲んで、カゼを引かないようにしようと考える人がおられますが、風邪薬にはカゼを予防する成分や治す成分は含まれてはおりません。 一般に、風邪薬は解熱鎮痛剤と抗ヒスタミン剤、鎮咳去痰剤の3つの成分から出来ています。発熱・頭痛・……
第198回 「マラドーナに捧げる!」
世界的に有名なアルゼンチンのサッカー選手「マラドーナ」が急性の心臓と呼吸器の重い障害で入院して一週間以上が経過しています。現在、人工呼吸器を着けたり外したりしている状態ですが、医師団によれば、引き続き警戒が必要で回復は長く困難なものになるだろうという話です。 マラドーナの病気が覚醒剤や麻薬と直接の関係があるかどうかはまだ明らかにはされていませんが、医学的に見……
第197回 「国際中医師」の謎?
日本語は主語の部分が無くても大体の意味が通じる便利な言葉ですが、その分だけニュアンスが曖昧になりがちです。また、外来語の場合でも実際と違う意味で使われていたりして、注意が必要なことがよくあります。特に、医学関係の場合では意味が曖昧なまま放置しておくと、生命に関わる重大な事故になりかねません。 薬局や健康食品店などでも「これは免疫を上げるから、リウマチによい!……
第196回 「うす味」派のあなたに・・・
うす味と濃い味とでは、うす味のほうが身体に良いと思われていますが、必ずしもそうばかりだとは限りません。 例えば、お味噌汁でも薄い味付けのものを二杯飲むのと倍の濃さのものを一杯飲むのでは身体の中に入る塩分の量は同じになりますし、甘さを控えたお菓子を2つ食べるのと甘いお菓子を1つ食べるのとでは 砂糖の分量は大体同じぐらいになるはずです。 日本人は一般に人の話を信……
第195回 「ニセモノ」による治療
私たちの身体の免疫の仕組みは「腫瘍壊死因子(TNF)」がある程度ないと機能しませんが、あまり多すぎてもよいことはありません。 例えば、慢性関節リウマチなどは腫瘍壊死因子が増え過ぎて起こる病気で、免疫細胞の受容体と結びついて炎症の原因となる物質を作り出し、最終的に関節を破壊してしまいます。こうした病気は自己免疫疾患ともいわれ、全身性エリテマトーデスや重症筋無力……
第194回 「ガンの殺し方、教えます」
わが国でも、白血病の治療に骨髄移植が行なわれておりますが、移植後に問題になるのは拒絶反応で、これを上手に抑えないと移植された骨髄細胞が定着できず、患者さんは亡くなってしまいます。 日本では拒絶反応を抑えるために免疫抑制剤のシクロスポリンとステロイドの組み合わせがよく使われますが、それと同じ効果がサリドマイドにもあることが分かっています。 サリドマイドが免疫を……
第193回 「黄泉がえり」
ハンセン病の激痛の苦しみから患者さんを救う薬としてサリドマイドは再び甦りましたが、その外にも全身性エリテマトーデス・ベーチェット病・エイズによる潰瘍などの難治性の皮膚粘膜病変にも有効なことが 現在では分かっています。 また、サリドマイドはハンセン病の治療薬として承認された年に、骨髄腫の治療薬としての認可もFDAから与えられています。骨髄腫はガンの中でもとりわ……