第195回 「ニセモノ」による治療

私たちの身体の免疫の仕組みは「腫瘍壊死因子(TNF)」がある程度ないと機能しませんが、あまり多すぎてもよいことはありません。

例えば、慢性関節リウマチなどは腫瘍壊死因子が増え過ぎて起こる病気で、免疫細胞の受容体と結びついて炎症の原因となる物質を作り出し、最終的に関節を破壊してしまいます。こうした病気は自己免疫疾患ともいわれ、全身性エリテマトーデスや重症筋無力症などが該当します。

このような、免疫が過剰になって自分の身体を攻撃してしまう病気にはステロイドが主な治療薬として使われますが、ステロイドを長期間使用していると骨が脆くなってくるという副作用がどうしても出てくるため、
治療が出来なくなってしまう場合があります。

特に、慢性関節リウマチの患者さんではもともと骨の状態がよくないために、ステロイドで痛みや症状が軽くなっても骨折しやすくなってしまい、満足に歩けなくなってしまう方もおられます。

そのため、現在では、腫瘍壊死因子が本物の受容体と結びつかないように、患者の体内に「ニセモノの受容体」を入れて慢性関節リウマチを治療する仕組みの薬剤が処方されることがあります。

しかし、免疫のほうの力も弱まってガンや感染症などにも罹りやすくなるので、十分に注意して使用することが必要です。

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