中医学の診察は、望診・聞診・問診・切診の4つの方法を組み合わせて行います。

「望診」は、目で見る診察法で特に重要です。患者の顔、目、皮膚、舌、排泄物の状態、体全体などを観察します。この中でも、「舌診」は中医学独特の見方をします。舌が赤い、黒い、白い、縮んでいる、腫れている、ぶよぶよしている、乾燥している、じゅくじゅくしているなど、これだけでも病気がどこにあるか、内臓の状態などが分かる場合があります。

「聞診」は、耳と鼻による診察法です。患者の声や呼吸の音、咳の仕方、腹鳴、口臭、排泄物の臭いなどを主に調べます。

「問診」は、問答による診察法です。日本では、問答無用とでもいうような、3分間診療がいろいろと問題になっていますが、ここでは患者の情報をいかに聞きだすかが重要で、質問の仕方が大切になってきます。例えば、あなたは冷え性ですか?というより、お風呂に入ると楽になりますか?と質問したほうがより具体的で客観的な答えが分かります。このようにいろいろな情報を引き出すことによって、「病気を見る」のではなくて「病人を診る」ことができるのです。

「切診」では、体を触ったり脈を取ったりします。中医学では特に脈診が発達しており、脈を取るだけでどんな病気か当ててしまう老中医を見たことがあります。また、言葉が話せない幼児などの場合、手に触れて脈をみるだけで症状を把握できる方法もあります。

以上のように、この4つの診察方法から得た情報を総合して診断します。

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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)

◆虎ノ門漢方堂◆
〒915-0813 福井県越前市京町3-1-26
TEL 0778-22-2371



◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。

※この記事の著者、城戸克治のプロフィールはこちら