汗をかくことは、身体によいとか・気分を爽快にさせるとか健康によい面だけがとかく強調されがちですが、中医学では「汗は、心臓の涙である!」というふうに注意すべきこととしても捉えられております。

例えば、運動やサウナなどであまり発汗し過ぎてしまうと、一時的に心気虚の状態になって心臓の働きが低下してしまう場合がありますし、血液内の水分量が減少して血管が詰まりやすくなったりもします。こんなとき、中医学では生脈散(しょうみゃくさん)という漢方薬で、心臓の筋肉に活力を与えたり血液内の減少した水分量を増やしたりして身体の状態を回復してやります。

生脈散は、狭心症や心筋梗塞・不整脈の特効薬としても有名で、中国の多くの病院では注射剤や点滴としてもよく使われています。また、長引く風邪で気力や体力が消耗してしまった場合やマラソンやサッカーなどの持久力が特に必要なスポーツ選手の栄養ドリンクとしてもすぐれた効果を発揮します。

一方、心気虚が原因で精神が衰弱している場合には、帰脾湯(きひとう)などの胃腸の働きを高めて体力や気力を増す作用を持つ漢方薬を使って、いわば間接的に少し時間をかけて治療していきます。

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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)

◆虎ノ門漢方堂◆
〒915-0813 福井県越前市京町3-1-26
TEL 0778-22-2371



◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。

※この記事の著者、城戸克治のプロフィールはこちら