第197回 「国際中医師」の謎?

日本語は主語の部分が無くても大体の意味が通じる便利な言葉ですが、その分だけニュアンスが曖昧になりがちです。また、外来語の場合でも実際と違う意味で使われていたりして、注意が必要なことがよくあります。特に、医学関係の場合では意味が曖昧なまま放置しておくと、生命に関わる重大な事故になりかねません。

薬局や健康食品店などでも「これは免疫を上げるから、リウマチによい!」とか「脳梗塞や心筋梗塞の人は、これを飲んで血液をサラサラにしないといけない!」などと言って商品を販売していたりしますが、
落ち着いてよく考えてみれば、免疫力を上げることはリウマチなどの免疫過剰の病気には逆効果になるはずですし、血液がサラサラの状態になりすぎると出血しやすくなり逆に血栓の形成にもつながる心配も出てきます。

また、日本の国内で「国際中医師」という中国政府が認定しているという資格を目にしますが、医師という文字が入っていても実は日本でも中国でも医師ではありません。もし、国際中医師が診察をしたり医師を標榜したりすると、医師法違反や詐欺の罪に問われ処罰されかねません。

中国では、漢方専門の医師は「中医師」と呼ばれています。中医師は、大学の医学部を卒業して国家試験に合格した者だけに与えられる資格で、日本の医師免許に相当するものです。

このように非常によく似た名称は大変誤解を生じやすく、悪用されている可能性もあります。国会議員の学歴詐称ではウソをついた人間の人格が疑われますが、こうした紛らわしい名称ではつけた側と名乗る側の両方にも良識が問われます。生命に関わる医療の現場では、誤解を招く表現はくれぐれも避けたいものです。

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