口の中の粘膜に発生する口内炎はヤケドみたいに痛むうえに、食べものや飲みものを取るたびにその部分が非常にしみて本当に困ります。

通常の場合、口内炎は風邪を引いた時やビタミンB2・B6・Cなどが不足している場合などに出来やすいものですが、原因がはっきりと分からないものも多く、入れ歯や歯ブラシなどの刺激によるものやカンジダやヘルペスなどの感染によるもの、さらに膠原病や白血病の初期などにも見られることがあります。

一般的に口内炎の症状はビタミンB2・B6などのビタミン剤を補ってやるか副腎皮質ホルモンの軟膏を患部に塗ってやれば、比較的短い期間ですみやかに回復して楽になるものです。

一方、中医学では口内炎はのぼせから起こるヤケドのようなものと考えられており、炎症が激しいものと比較的炎症の軽いものとに大別されます。

まず、炎症が激しいタイプは顔色も赤くてのぼせの症状もきつく、口の渇きやその部分の痛みも強いものです。こういう場合は、過度のストレスや栄養分の取り過ぎによるエネルギー過剰が原因で、肝や心が異常興奮して過熱した状態と考えられるため、黄連解毒湯や半夏瀉心湯などの漢方薬で肝や心の熱を取ってやれば意外と簡単によくなります。

また、炎症の軽いものは虚弱体質や身体の衰弱によって起きる水分保持力の低下が原因と考えられており、のぼせの程度も痛みもそれほど強くありません。しかし、症状が長引いたり再発を何度もくり返す傾向があります。こういうときは、地黄や麦門冬などの体液を増す作用のある生薬が配合された杞菊地黄丸や知麦地黄丸を使って体質を改善していきます。

※中医学では、熱やのぼせの症状は心と肝に原因があることが多いと考えられています。

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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)

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◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。

※この記事の著者、城戸克治のプロフィールはこちら