日本では、花粉症に「小青竜湯」という漢方薬をよく使います。しかし、小青竜湯は葛根湯の仲間で体を温める作用が強いので、熱があるタイプの花粉症には向きません。
「大リーグの選手が練習中に死亡し、使用中のダイエット薬に含まれているエフェドリンが心臓発作を引き起こした可能性がある」という記事が新聞に載っていましたが、葛根湯や小青竜湯にも「エフェドリン」は含まれています。※配合されている麻黄(マオウ)という生薬に、エフェドリンが含まれています。
エフェドリンは少量でも交感神経を強く興奮させるため、血圧の高い人や心臓に持病がある方の使用は避けるべきです。また、胃腸の弱い方や体力がない方も、使用を控えられたほうが無難です。
葛根湯や小青竜湯などの漢方薬以外にも、薬局・薬店で販売されている多くの鼻炎や花粉症の薬に、交感神経を刺激する成分が含まれています。
特に「塩酸フェニルプロパノールアミン」という成分は、使用量と中毒量との差が小さいため、用法・用量だけでなく、体重や体調も考慮して慎重に投与しなければいけません。また、連用にも注意が必要です。※交感神経の刺激作用による、血圧上昇・排尿障害・甲状腺機能亢進などを引き起こす可能性があるため、これらの症状や脳内出血の既往がある人には禁忌となっています。※2000年から米国などでは、脳内出血を引き起こす可能性があるため、塩酸フェニルプロパノールアミンが含まれる市販薬の販売は中止となっています。
見方を変えれば、交感神経を刺激する薬の服用は、「怒ること」と同じカテゴリーの行為です。この類の薬を服用中は、イライラしやすくなりますから、精神の安定に努める必要があります。
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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)
◆虎ノ門漢方堂◆
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◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。
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