舌体の形状は、大きくぼてっとしたもの、薄く痩せているもの、小さくて外から見えにくいもの、歯跡がくっきりついたもの、曲がっているもの、凸凹のあるもの、亀裂の入ったものなど、いろいろあります。また、軟らかく傷つきやすそうな舌体や、固くてがっしりとした舌体もあります。

大きくぼてっとした舌体は肥満者に多く、体に余分な水分が貯まっていることを表わしています。薄く痩せている舌体は、栄養状態がよくないことや体内の水分量が少なめの状態を表わしています。小さい舌体や短い舌体は、生まれつきの場合もありますが、体内の水分量が少ない人に多く見られます。

歯跡がついた舌体は、胃腸の弱い人に多く見られます。胃腸の働きが悪いと体内に過剰な水分が貯まりやすいため、舌が膨らんで歯跡がつきやすくなります。曲がった舌体は、脳卒中を起こしたことがある人に見られます。凸凹や亀裂のある舌体は、体内の水分不足を表わしています。

軟らかな舌体は体力が落ちて抵抗力が弱まっている状態を、固い舌体は体力が充実し抵抗力が十分にある状態をそれぞれ表わしています。

また、舌体の表面の乾燥は体液不足を表わし、体が熱っぽくなっていることを示しています。湿潤している場合は体液の過剰を表わしており、体が冷えやすくなる傾向があります。

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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)

◆虎ノ門漢方堂◆
〒915-0813 福井県越前市京町3-1-26
TEL 0778-22-2371



◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。

※この記事の著者、城戸克治のプロフィールはこちら