麻薬として有名なモルヒネには痛みを抑える作用、咳を軽くする作用、下痢を止める作用など、実に多種多様の作用があります。

例えば現在、塩酸ロペラミドというモルヒネに類似した成分が病院で下痢止めとして非常によく使われておりますが、その理由はどんな下痢でもすぐに収まってしまうからです。そのため、モルヒネは以前、痔の手術後に出来た傷をきれいに治すためにも使用されてきました。

また、モルヒネの持つ鎮咳効果や鎮痛効果は現在使用される薬物の中でも最強の部類で、ほとんどの咳や痛みを抑えることが可能です。しかし、そのメカニズムは直接、脳の中にある中枢神経に働きかけるため、使用量を多くすると呼吸が停止してしまう恐れがあります。

現在、私が興味深く思っているのは、下痢止めとして繁用されているモルヒネの類似成分、塩酸ロペラミドにモルヒネの代用薬として痛み止めとしての効果が意外と備わっているのではないかということです。

仮に、塩酸ロペラミドを併用することでモルヒネの使用量が減らせれば、痛みに苦しむ癌患者の方々にとってそれは非常に大きな福音となります。

※塩酸ロペラミド(商品名:ロペミン)腸の蠕動を抑え、腸の内容物の通過を抑制することによって、下痢を止めます。但し、細菌性の下痢には向きません。

虎ノ門漢方堂のダイエットとは
更年期障害・自律神経失調症・鬱
腰・肩・関節・ひざの痛み・リウマチ

友だち追加

◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)

◆虎ノ門漢方堂◆
〒915-0813 福井県越前市京町3-1-26
TEL 0778-22-2371



◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。

※この記事の著者、城戸克治のプロフィールはこちら