アシドーシスの場合とは反対に、動脈血のpHが7.45以上になることが“アルカローシス(アルカリ性血症)”です。アルカローシスの状態になると神経や筋肉が異常に興奮しやすくなるため、精神錯乱・筋肉痙縮・けいれんなどの症状が
現われやすくなります。
どうして、アルカローシスになると神経や筋肉が異常に興奮しやすくなるのかといいますと、血液中のカリウムが細胞内へ移動し低カリウム血症を発症してしまうからです。
例えば、副腎皮質ホルモンいわゆるステロイドの副作用に、イライラ・不眠・躁うつ状態などの精神的な症状がありますが、ステロイドが低カリウム血症を発症しやすい薬物であることを考えれば、それらの副作用の発現はある程度、予見することができます。
また一般に、漢方薬は副作用がないと思われがちですが、実は、漢方薬に含まれている“甘草”という生薬の使い過ぎで低カリウム血症が発症することがあります。原因は、甘草の主成分であるグリチルリチンの化学的構造が、ステロイドと非常によく似ているためです。
※頻繁に嘔吐をくり返す場合、胃液中の塩酸が多量に失われてアルカローシスが発症するケースがあります。また、ひどい下痢が何回も続くとアルカリ性である腸液が大量に失われるため、アシドーシスの状態を呈するようになります。
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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)
◆虎ノ門漢方堂◆
〒915-0813 福井県越前市京町3-1-26
TEL 0778-22-2371
◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。
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