大のビール党で、痛風の専門家でもある鹿児島大学医学部付属病院の教授が皮肉にも痛風を患ってしまい、禁酒したくないあまりに自らを実験台に痛風とビールの因果関係を研究した話が、最近、大きな話題になっております。

痛風は「帝王病」という別名が示す通り栄養過多の食生活が原因といわれ、血中の尿酸値が高い状態が続くことで、関節に激痛を起こしたり腎臓に障害を引き起こしたりします。また、心筋梗塞や脳梗塞など、血管障害の発生する危険性も高くなります。

特にビールは、アルコールに尿酸の合成を促進する働きがある上、尿酸の元であるプリン体の含有量も100グラム中に5.11ミリグラムと、日本酒(同1.22ミリグラム)やウイスキー(同0.13ミリグラム)に比べて数倍から数十倍も多いということで、長い間、“痛風の大敵”と報じられてきました。

しかし、ビール好きなこの教授の約2年間に及ぶ研究によれば、1日750ミリリットルまでのビールなら痛風に悪いストレスを緩和し、尿酸値を下げることもあるという話です。

実際に食品中のプリン体の量を比較しても、白米(100グラム中25.9ミリグラム)、ホウレンソウ(同54.5ミリグラム)、納豆(同113.9ミリグラム)など、ビールに含まれるプリン体の量は決して多くありません。また、よく考えてみれば、ビールは利尿作用がかなり強いため、身体から尿酸を追い出す効果もある程度は期待することができます。

動機は少々不純のようにも思われますが、こういった研究の成果は何よりも病気の患者さんを勇気づけてくれますし、我々、臨床家にもとても参考になります。

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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)

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TEL 0778-22-2371


※ Q先生:邱永漢(きゅう・えいかん)
第34回直木賞受賞。経済評論家としても有名。
ほぼ日刊イトイ新聞「ハイハイQさん」で、城戸克治はコラムを3年間連載する。

※ この記事の著者:主任薬剤師 城戸 克治 プロフィール