顔色が赤っぽくなってきたら、中医学では「心」の異常を疑います。もちろん、元気な人の頬の赤味は健康的なもので心配はいりません。(まれに、りんご病という病気の場合もありますが…)

気をつけなければならないのは、酒好きな方に見られる、赤鼻や赤ら顔です。それらは、血管系の障害を現わしている場合が多く、注意が必要です。

中医学の心は、心臓だけでなく、現代医学の大脳の働きと循環器系の働きを併せ持っていると考えられています。つまり、大脳の働きに相当する思考・判断・認識・記憶・感情などの精神の部分と、心臓と全身の血管系の働きの部分です。

例えば、狭心症や心筋梗塞の場合には不眠や不安感を伴うことが多く、病気がよくなるとそれらも解消されたりします。また、驚くと脈が速くなったり、深刻な悩みで胸が締めつけられることも、以上の関係を示唆していると云えます。

不眠になったり・物忘れをよくするようになったり・痴呆などの大脳の働きに障害が発生している場合では、中医学で心血虚・心陰虚といわれる、脳の栄養不足状態が起きている可能性があります。心血虚は心の貧血傾向、心陰虚は心の体液不足の傾向を表わしています。

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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)

◆虎ノ門漢方堂◆
〒915-0813 福井県越前市京町3-1-26
TEL 0778-22-2371



◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。

※この記事の著者、城戸克治のプロフィールはこちら