インフルエンザの予防について
現在、インフルエンザの流行が予想以上に速いため、用意されたインフルエンザ用の抗ウィルス薬の供給が間に合わず、医療の現場での品不足が連日大きな話題になっています。
これらの抗ウィルス薬は、どれも日本では製造されておらず、すべて欧米からの輸入にたよっています。そのわけは日本でのインフルエンザの認識と違い、アメリカやヨーロッパでは単なる風邪の仲間ではなく、ペストや赤痢のような恐ろしい伝染病の一つとして考えられているからではないでしょうか。そのために予防接種を受けることも、あちらではごく一般的であると聞いております。
また、細菌や他のウィルスなどに比べてインフルエンザウィルスは非常に小さいため、セキやクシャミをすれば、マスクの網の目など簡単に通り抜けて空気中に拡散されますし、逆にマスクをしていても簡単に吸い込んでしまいます。粘膜に付着したウィルスは20分ぐらいで体内に侵入するということですから、かぜの予防にはマスクやうがいが有効でも、インフルエンザにはそれほど効果はないともいわれています。
インフルエンザが流行してきたら、人混みや繁華街への外出は少し控えたほうがよいでしょう。特に高齢者や慢性疾患を持っている方、疲れていたり睡眠不足の方は、罹患したときに重症化する可能性が高くなりますので要注意です。
空気が乾燥すると、インフルエンザウィルスは非常に軽いため空気中に舞い易くなり流行しやすくなります。外出時にマスクを利用したり、室内で加湿器を使うことは乾燥を防ぐ目的のためには意味があります。なお、水分を多めに補給することは、熱を下げることにおいてもウィルスらを体から追い出すことにおいても大変重要です。
※抗生物質は、ウィルスには効果がありません。しかし、インフルエンザに罹ると他の細菌にも感染しやすくなります。それで、細菌との混合感染による肺炎・気管支炎などの治療のため抗生物質は使用されたりします。
次回は、「インフルエンザによる学級閉鎖がない」といわれている中国の事情についてお話します。
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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)
◆虎ノ門漢方堂◆
〒915-0813 福井県越前市京町3-1-26
TEL 0778-22-2371
◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。
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