これから先、中国からたくさんの医薬品が日本に流れ込んでくることと思いますが、成分がすべて漢字で表記されているため、漢方薬と間違う危険性が潜んでいます。数年前にも、アトピーの特効薬として医師が中国から個人輸入して販売していた“安全な漢方薬の軟膏”が実は、ステロイドの軟膏だった事件がありました。そのときの成分表示は「酪酸地塞米松」で、日本語に訳せば「酪酸ジヒドロコーチゾン」、れっきとしたステロイド含有の軟膏剤です。

現在、中国と日本の間で「反日問題」という非常に大きな摩擦が起こっておりますが、それも煎じ詰めれば、お互いの意思の疎通がうまく出来ていなかった証拠でしょう。しかし医薬品では、こうした思い違いは命取りになる恐れが多分にありますから、正体が不明の場合、使用は避けるべきです。

また、中医学や漢方というと漢方薬ばかりを連想しがちになりますが、一番大切なことは病気の本質を掴むことです。病気の本質を捉え、その悪化要因を少なくする工夫をすれば、それが中医学や漢方の治療になるのです。漢方薬を使うのは、それからでも遅くはありません。

※中医学的な病気の本質の捉え方、悪化要因を少なくする工夫は、「中医学事始め」のコラムの前半の部分で  集中して書きましたので、ぜひ、再読して見て下さい。

アザラシが親子でいられる時間は約2週間。あっという間にやって来る親離れの時、大切なことが、別れによって伝えられます。母の姿を求め鳴くことをやめる時、子供は、厳しい自然を、生きることを覚えはじめます。

「中医学事始め」を執筆するまで、私は文章を書くことが非常に苦手でまったく自信もなかったのですが、執筆する機会を敬愛する邱永漢先生から与えて戴き、スタッフの皆さんのご協力もあって3年近く、どうにか頑張って続けることが出来ました。しかし現在、医療の世界はめまぐるしく移り変わってきており、この辺で、充電する時間がどうしても必要になってまいりました。

愛読者の皆さんに会えなくなるのはとても残念で寂しいことですが、しばらく、私は筆を置きたいと思います。長らく、「中医学事始め」をご愛読戴き、本当に有難うございました。

また、邱永漢先生、スタッフの皆様、拙い私にご厚情をおかけ下さり、本当に有難うございました。惜別の情は尽きませんが、またお会いし、歓談できる機会が訪れることを楽しみにしております。

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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)

◆虎ノ門漢方堂◆
〒915-0813 福井県越前市京町3-1-26
TEL 0778-22-2371



◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。

※この記事の著者、城戸克治のプロフィールはこちら