腎臓が悪くなっている状態で病院で検査を受けると、大抵の場合、尿に“タンパク”が下りています。なぜ、腎臓が悪くなると尿にタンパクが下りるのかといいますと、腎臓の中にある血液を濾過する働きを持つ糸球体の部分が弱ってくるためです。
本来、タンパク質は身体に必要なものですから、腎臓の機能が正常で適正なタンパク質の摂取量であれば、糸球体からタンパクが漏れ出すようなことは余り起こりません。しかし、何らかの理由で糸球体自体が弱ってくると、タンパク質の摂取量が適正でも尿の中にタンパクが漏れ出てくるようになってきます。
また、腎臓を通過した血液は糸球体で濾過され、尿として尿細管のほうへと送られてきますが、尿細管はもう一度、尿の中から必要な水分や電解質を再吸収して身体の中へ取り込もうと働きかけます。しかし、この尿の中にタンパクが存在していると、尿細管の細胞を傷つけてしまいます。これが、尿に“タンパク”が下りると心配しなければならない主な理由です。
※厳密にいえば、健常人の場合でも泌尿器系統の細胞片が尿に混じりますから、1日、50~100mg程度のタンパクは尿中へと排泄されます。そのため、臨床的には1日、150mg以上をタンパク尿と判定します。
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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)
◆虎ノ門漢方堂◆
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◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。
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