ステロイド剤には、異物から身体を防御しようと働く“免疫機構”を抑制する作用があるため、外部から細菌、ウイルスなどの異物が体内にフリーパスの状態で侵入しやすくなります。つまり、感染症に掛かる割合いが非常に高くなってしまう副作用があるということです。
今年はインフルエンザの流行が大幅に遅れて対象とするインフルエンザの型が変わってしまい、予防ワクチンの効果がほとんどなくなっておりますが、特にこのような場合にはステロイド剤の使用に気をつけなければなりません。
その他、よくみられるステロイド剤の副作用としては、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの症状があります。
また、時々起こりうる副作用として、顔などのむくみ(ムーンフェイス)、日光過敏症、多毛症、高血圧・糖尿病など生活習慣病の悪化。
長期間の使用で起きる副作用として、眼圧の上昇、白内障、精神不安、頭痛、骨密度の減少などがあります。
なぜ、このようにステロイド剤の副作用が多岐に渡って発生するのかといいますと、それはステロイドに対する受容体が私たちの身体全体に備わっているからです。言い換えれば、ステロイド剤は受容体が身体全体に備わっているため、
いろいろな症状によく効くのだというふうに解釈することができます。
これは以前、ある人から聞いた話ですが、漢方薬にステロイド剤を混ぜてよく効くという評判を取っていた連中が医師や薬剤師の中にもおったそうです。また、よく効くという評判の中国製の漢方薬や健康食品に、ステロイド剤が混入されていた事件もありました。養生することなしに、何にでもよく効くという薬にはやはり注意したほうが賢明のようです。
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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)
◆虎ノ門漢方堂◆
〒915-0813 福井県越前市京町3-1-26
TEL 0778-22-2371
◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。
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