イスラム教を信仰する多くの民族では、アルコールを飲むことは大概、禁止にされています。どうしてアルコールを飲むことが禁止されているのかといいますと、宗教上の理由がいろいろ考えられますが、「実は、それは健康上の理由からだった」という医学的に興味をそそられる面白い話があります。

一般に、イスラム教を信仰する民族は砂漠や暑さのきびしい地域に住んでいることが多く、飲料水を確保することは日本では考えられないほど重要な仕事になります。なぜなら、人間は食べ物を食べられなくても何日間も生き延びることが可能ですが、水なしではほんの数日しか生きることができないからです。

前述の話を医学的な面から説明しますと、少量のアルコールは身体を副交感神経優位のリラックスした状態に導いてくれます。しかし、量を飲みすぎてしまうと交感神経優位の緊張した状態に陥ります。

身体が交感神経優位の緊張した状態に陥るとどういう現象が起こるのかといいますと、まず血圧が上がって血液の流れがよくなり、腎臓からの水分の排出量が著しく増加します。つまり、血液の中の水分量が減少し、結果的に、我々の身体に脱水症状をもたらします。

緊張するとトイレが近くなる理由も、また二日酔いになるといくら水を飲んでも喉が渇いて仕方がないといった理由も、こうしたことが主な原因です。

過剰なアルコールの摂取は脱水症状を引き起こし、最悪の場合は死に至ることさえあります。日本のような水資源に恵まれた土地なら、たとえ脱水症状を起こしてもすぐに水を手に入れることができますが、水資源に恵まれない砂漠や暑さのきびしい地域では、命取りになることが往々にしてあります。つまり、コーランの教えは、そうした地域に住んでいる人々にとって生命を守る大切な道しるべでもあるのです。

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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)

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TEL 0778-22-2371


※ Q先生:邱永漢(きゅう・えいかん)
第34回直木賞受賞。経済評論家としても有名。
ほぼ日刊イトイ新聞「ハイハイQさん」で、城戸克治はコラムを3年間連載する。

※ この記事の著者:主任薬剤師 城戸 克治 プロフィール