リウマトレックスはリウマチ専門の医師が処方する医薬品で、関節の障害を抑える効果が他のリウマチ薬に比べて高いため、長期間使用している患者さんが多いと聞きます。

しかし元々、この薬の成分は1960年代に抗ガン剤として開発され、それが1980年代になってリウマチに高い治療効果があることが分かり、世界各国で関節リウマチの治療薬として使用されるようになったものです。

つまり、安全で効果が高いという薬ではなく、危険性があるが上手に使えば有用性も高いというふうに解釈すべき薬で、抗ガン剤と同じく、投与される患者さんにもある程度の覚悟を求める薬のように思われます。

メーカー側は、適用患者の選択基準や副作用の初期症状を見逃さない指導について、医師や薬剤師らに今まで何度も情報を提供しているという話ですが、もっと大切で必要なのは服用する側の患者さんに対してもきちんとした情報を提供してあげる姿勢でしょう。

例えば、患者さん向けに配布している小冊子で、“生命に関わる副作用”とか“ときに重篤なことがある”などといった表現でこの薬の持っている危険性について十分に言及しているとメーカーは語っていますが、この薬の持っている副作用の危険性は、医師が直接、患者さんに副作用による死亡例や死亡率を具体的に挙げて説明しなければならない性質のものなのです。そのため、薬の添付文書にも、処方できる医療施設の条件などを指示した警告表示が、いろいろ細かく書いてあるのです。

今回、多くの死亡例が報告されたリウマトレックスですが、この薬の危険性を正確に認識して、骨髄抑制による血液障害や間質性肺炎の兆候を早期に発見できておれば、死に至るような重い副作用はある程度防げたはずです。

最近、日本やアメリカ、北朝鮮でも、論理のすり替えが非常に流行しておりますが、今回の事故の原因も、リウマトレックスという薬にあるのではなく、使う人間のほうにあったといえるのではないでしょうか。

※骨髄抑制については、血液検査を定期的に受けること、口内炎やヘルペス、風邪をひきやすくなるなどの免疫力の低下により起こる症状を見逃さないこと。また、急な咳や発熱、呼吸不全などの症状が出たら、間質性肺炎を起こしている可能性があるため、一刻も早く病院で受診すること。

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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)

◆虎ノ門漢方堂◆
〒915-0813 福井県越前市京町3-1-26
TEL 0778-22-2371


※ Q先生:邱永漢(きゅう・えいかん)
第34回直木賞受賞。経済評論家としても有名。
ほぼ日刊イトイ新聞「ハイハイQさん」で、城戸克治はコラムを3年間連載する。

※ この記事の著者:主任薬剤師 城戸 克治 プロフィール