約10万人の患者さんが使用しているという関節リウマチの治療薬「リウマトレックス」の重い副作用で、1999年の承認から昨年11月までの期間に134人が死亡したというニュースが先日、新聞やインターネットなどで報道されていました。
副作用の症状は、骨髄の抑制による白血球や血小板の減少などの血液障害、間質性肺炎が中心になっています。また、死亡した人の中には、使用が禁忌となっている腎障害や慢性肝疾患の患者さん、服用継続に必要な血液や肝機能の検査を病院でされていなかった人も含まれています。
メーカーのほうでは、今まで医師や患者さんに注意を喚起してきた、というふうな話の仕方をしておりますが、私の経験ではとてもそういうふうには思えません。
実際、ある病院から発行された処方せんを私の薬局に持ってきた患者さんは、C型肝炎の病歴があり何年も前からそこへ通院しているのに、担当医から何の説明もされずにいきなり、リウマトレックスを処方されています。
以前からリウマトレックスをC型肝炎など慢性肝疾患の患者さんに使用することは禁忌になっており、それは薬の添付文書の最初のページの黄色に染められた部分にも赤い文字で大きく目立つように書いてあります。
また、この患者さんは長年に渡って病院に通っておられるわけですから、担当医のほうでもC型肝炎であることは十分承知しているはずです。
それにもかかわらず、この薬が平然と処方されたのは、リウマトレックスの副作用の危険性が、メーカーから担当医にまったく伝わっていなかった証拠と言えるのではないでしょうか?
※この患者さんの場合、こちらから事情を病院に説明して処方内容をやっと変更してもらいましたが、患者さんには一言のお侘びの言葉もありませんでした。
虎ノ門漢方堂のダイエットとは ⇒ 更年期障害・自律神経失調症・鬱 ⇒ 腰・肩・関節・ひざの痛み・リウマチ
◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)
◆虎ノ門漢方堂◆
〒915-0813 福井県越前市京町3-1-26
TEL 0778-22-2371
◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。
※この記事の著者、城戸克治のプロフィールはこちら