還暦を大きく越えてもなお、一向に衰えをみせないQ先生ですが、年に数十回も飛行機に乗るということは、宇宙飛行士と同様に重力低下による骨密度の減少を知らないうちに招いている可能性があります。

「大陸へ行っている時は毎日マッサージをして、日本にいる時はマッサージをしないため、日本にいる時は腰が痛くて、中国に行ったら痛みが軽くなるという生活を繰り返しています。」といった話を先日、コラムでされておられましたが、それはひょっとしたら、骨密度の減少による影響が多少出てきている証拠なのかも知れません。

こうした場合、西洋医学では、エストロゲンや活性型ビタミンD3、ビタミンKなどを処方して骨密度の改善を図りますが、中医学では、補腎といって五臓六腑の腎を強化する方法を採ります。

漢方薬で言えば、杞菊地黄丸や八味地黄丸(八味丸)、瓊玉膏などの地黄という生薬を多く配合してあるもの。食べ物で言えば、アワビ、ナマコ、牡蠣、海藻、自然薯、えび、カニなどの食材を使います。

確か、Q先生は海苔が大好物で毎日欠かさず食べておられる、といった話を以前に耳にしたことがあるのですが、海苔もまた、補腎効果の非常に高い食べ物です。先生が意識的にそれを実践なさっているのかどうかは分かりませんが、海苔が先生の骨密度の減少を防ぐのに一役買っているのは、まず間違いのないことだと思います。

※中医学では一般に、色の黒い食材は補腎の働きがあるというふうに考えられています。

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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)

◆虎ノ門漢方堂◆
〒915-0813 福井県越前市京町3-1-26
TEL 0778-22-2371



◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。

※この記事の著者、城戸克治のプロフィールはこちら