精神科の病院に入院中に長時間の身体的拘束を受けた患者が、拘束中や解放直後に肺塞栓(はいそくせん)症で突然死亡するケースがこのところ東京近辺で多発しており、長時間身体を動かさないことが発症の引き金となるエコノミークラス症候群がその原因ではないかと疑われています。
一般に、入院患者の肺塞栓症の予防や対策は外科や整形外科の手術の場合が主に対象になっており、精神科など手術をほとんど行なうことのない他の診療科目では、特別な対策は何も取られていないようです。
解剖を担当した慶応大学医学部の監察医の方が、「拘束が引き金になった疑いもある。身体を動かさないことの危険性がもっと認識されるべきだ」と少し憤慨気味に語っておられましたが、確かにその通りだと私も思います。
また、このことをもう少し別の角度から検証すると、「精神安定剤や睡眠薬などの薬物を飲むと睡眠が深くなり過ぎて寝返りを打つことが減少してしまい、その結果、血栓が出来やすくなる」という仮説を立てることも可能です。
年を取って老人になると、夜中に目が覚めて何度もトイレに行くようになってお困りの方がたいへん多いのですが、ひょっとしたら、そのことも動脈硬化が進行している老人が睡眠中に血栓症を起こさないようにするためのいわゆる「自然の摂理」なのかもしれません。
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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)
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◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。
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