新潟県中越地震で車内で避難生活していた方々の中に、「エコノミークラス症候群」とみられる多数の死亡者が出て問題になっています。エコノミークラス症候群とは、飛行機の座席などの狭い空間内で長時間同じ姿勢を取り続けることによって足の静脈に発生した血栓が、肺まで運ばれ肺の血管に詰まった状態で、呼吸困難や心肺停止などの非常に危険な症状を引き起こします。
テレビや新聞などの報道でも、同じ姿勢を長くとらないようにする・水分を適度に摂取するなど、エコノミークラス症候群の防止策を広く呼び掛けておりますが、これから本格的に寒くなり、避難生活が長引いてくれば
その危険性はさらに高まってきます。
先日のコラムでは、エコノミークラス症候群を予防するための水分の補給には「お湯」が最適と書きましたが、もし葛粉や片栗粉などが入手可能でしたら、それらを熱いお湯に溶かし、お好みで砂糖やしょう油、味噌、ミルクなどを加えて、重湯のようにしてお飲みになられてもよいかと思います。
「葛根湯や生姜湯を飲めば、身体がポカポカ温まって風邪が治る」といわれているのも、葛粉がその中に含まれているからです。葛粉や片栗粉などを熱湯などで溶いてトロミをつけてやれば、ちょうど暖かいアイスノンのようになって身体を心の底から温めてくれます。また、のどの粘膜を乾燥から防いで、風邪などのウィルスから守ってくれます。
※トロミをつけた飲みものの場合、熱い状態のまま口の中に入れますと非常にヤケドしやすくなります。必ず、ぬるめの温度に冷ましてから、少しずつススルようにしてお飲みください。
※葛根湯には、麻黄(マオウ)という交感神経の興奮剤が含まれています。そのため、葛根湯を飲むと血圧が上昇したり、頻脈になって心臓に負担が掛かることがあります。また、生姜湯の場合でも、ストレスで弱った胃腸には刺激が強すぎて、胃潰瘍や十二指腸潰瘍になったりすることもあります。
今回の避難生活の場合では、誰でも安心して飲むことが出来る・ありきたりのもので簡単に作れる、ということが非常に重要なポイントになります。ですから、葛根湯の使用は止めてください。また、生姜湯の使用もなるべく控えてください。
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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)
◆虎ノ門漢方堂◆
〒915-0813 福井県越前市京町3-1-26
TEL 0778-22-2371
◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。
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