昔から、動物性の油と植物性の油とどちらのほうが身体によいのかという議論が、いろいろなところで行なわれてきました。通常、動物性の油というのは融点が高く、人間の体温の範囲内では溶解せずに固体の状態を示しています。しかし、植物性の油は融点がかなり低く、同様な温度条件では常に液体の状態を保ちます。

そのため、動物性の油を摂取すると、脂肪分が固まりやすくなって動脈硬化が進行するという理屈で、動物性の油は身体に悪く、植物性の油のほうが身体によいというふうに長い間思われてきました。また、魚類の油も植物性の油と同じように融点が低いため、動物性の油より身体によいとされてきました。

ところが現在では、アラキドン酸という動物性の油に多く含まれている物質は通常では血小板の凝集力を高めますが、血管内皮の細胞に取り込まれると逆に血小板の凝集を抑制して動脈硬化の進行を予防する働きを持っていることが判明しています。

また、ニンニクは血小板の凝集を抑制し、血液をサラサラにする食品と盛んにテレビや健康雑誌で宣伝されてますが、逆に、交感神経を刺激しアドレナリンの放出を活発にして、血小板の凝集を高める働きがあることも分かっています。

「自然は老獪である」とはアインシュタインの有名な言葉ですが、自然がつくりだしたものは、最終的には、ちゃんと帳尻が合うように上手くできていることが本当に多いものですね。

※現在、世界中の製薬会社は、  血小板の凝集を抑える薬を競って開発していますが、血小板の凝集を助ける薬を開発している会社の話はほとんど聞いたことがありません。よく考えてみれば、両方とも、人間の身体にとって重要なものに思われるのですが。

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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)

◆虎ノ門漢方堂◆
〒915-0813 福井県越前市京町3-1-26
TEL 0778-22-2371


※ Q先生:邱永漢(きゅう・えいかん)
第34回直木賞受賞。経済評論家としても有名。
ほぼ日刊イトイ新聞「ハイハイQさん」で、城戸克治はコラムを3年間連載する。

※ この記事の著者:主任薬剤師 城戸 克治 プロフィール