花粉症の体質を改善する方法の一つに、外部からの病邪の侵入を防いだり気候などの外部環境に対応したりする、「衛気(えき)」と呼ばれる身体の表面の防御膜を強化する方法があります。
衛気を増やす漢方薬として有名なのが「玉屏風散(ぎょくへいふうさん)」で、その名の通り、外部からの病原菌の侵入や環境の変化から身体を守ってくれます。
玉屏風散は、防風・白朮・黄耆の三つの温性の生薬から構成されているため、主に冷え性のある方に使います。熱がある場合は、玉屏風散に板らん根などの清熱解毒の作用を持つ生薬を併用したりします。
また、日本のように冷暖房が完備された環境は、皮膚や粘膜が持っている環境適応能力を退化させやすく、アトピーや花粉症、ぜんそくなどのアレルギー性疾患が増えてきた原因の一つになっています。昔は学校などで乾布摩擦をよくしましたが、これも衛気を強化する方法の一つと考えることもできます。
また、風邪を引いた場合、お風呂は良いのか・悪いのかという議論がありますが、汗をかくことは衛気の損傷にも繋がりますので、中医学的には匙加減が必要となるでしょう。
現代の免疫学では、IgA抗体が花粉症に強く関係していると云われていますが、ある意味、これは衛気の存在を指しています。衛気の強化は、眼・鼻・のど・腸などの粘膜を丈夫にすることにも繋がります。
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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)
◆虎ノ門漢方堂◆
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◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。
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