皮膚が乾燥して白くザラザラしているのは、「陰虚」と呼ばれる体液不足を考えます。陰虚とは体内の水分とそれを保持する能力が減少した状態で、唾液が減少して口の中が乾燥したり、涙不足で目がパサついたり、陰部の粘膜が潤いを失い過敏になったりもします。また、老人性皮膚掻痒症という病名がありますが、それも陰虚の症状のひとつです。
一般に、陰虚は高齢者に多くみられます。しかし、インフルエンザなどで高熱が続いたりすると、若い人でも一時的に陰虚になることがあります。また、車のエンジンの冷却水不足と同じように体の熱を冷ますことが出来ず、風邪でもないのに微熱気味だったり、手のひらや足の裏がほてったりします。さらにひどくなると、脳の余分な熱をうまく冷ませず、脳が異常興奮して血圧が高くなったり、イライラしたり、不眠になったりもします。
「耳たぶ」というのは、若い人はもちろん、お年寄りの方でも血色がよい部分です。もし、この部分の血色が悪くなったり、ツヤがなくなってきたら用心すべきです。
血液が何らかの原因で流れが悪くなったり、固まったり、出血したりすると、その部分の血液の質や状態が悪くなります。これを「於血(おけつ)」と呼び、心臓に発生すると狭心症や心筋梗塞、子宮に発生すると生理痛や不正出血、子宮筋腫などの原因になると考えられています。
シミやイボが多い場合、糸みみずのように細い血管が顔・手のひら・身体に浮いて見える場合、静脈が目立つ場合も於血の存在が疑われます。中医学では、於血があるとガンやポリープが出来やすくなるので、要注意とされています。
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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)
◆虎ノ門漢方堂◆
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◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。
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