「メニエール症候群」という、目まいが主な症状で難聴・吐き気・嘔吐・耳鳴りなどを伴う病気があります。この病気は以前は女性の患者が多かったのですが、今では30~40代の男性にも患者が増えてきているという話です。
目まいの発作は、軽ければ数分から数時間、重いものになると2~3日続くこともあります。また、症状が治まっても完治することは難しく、同じような発作を何回も繰り返します。西洋医学では、メニエール症候群は自律神経の異常・アレルギー・血行不良・水分代謝の異常などにより平衡感覚に障害が起きたものといわれていますが、ハッキリとした原因は分かっていません。
中医学ではメニエール症候群は主に脾の障害から起こる病気とされ、脾の弱りからくるものと胃腸の水はけが悪くなって起こるものとに大別されます。
脾の弱りが原因の場合には、低血圧や自律神経失調症を伴うことが多く立ちくらみや身体の動揺感が主な症状になります。また、胃腸の水はけが悪いものの場合は、回転性の激しい目まいが特徴で耳鳴りや難聴の症状も同時に起こりやすいものです。
前者には、気を補う作用が強い黄耆(おうぎ)と朝鮮人参を配合した補中益気湯(ほちゅうえっきとう)という漢方薬が、後者の場合には、神曲(しんきく)という漢方の消化剤が配合された半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)という胃腸を丈夫にしてお腹の中の水はけをよくしてくれる漢方薬が最適です。
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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)
◆虎ノ門漢方堂◆
〒915-0813 福井県越前市京町3-1-26
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◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。
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