五臓六腑の肝は、内臓的には西洋医学における肝臓の概念とほぼ一致します。しかし、肝はそのほかにも目・筋肉・消化器・婦人科系や情緒などの精神面にも大きな影響を与えます。
一方、「胆」も西洋医学の胆のうの概念と同じく、胆汁を貯蔵し小腸にそれを排泄して脂肪らの消化吸収を助けるところとされています。しかし、中医学では、胆はその作用のほかに人間の決断力を支える働きがあるとされ、ここが弱まると決断力や勇気を失い、迷いやすく怖がりになると考えられています。
例えば、決断力があるひとや勇気があるひとを表現する場合に、「あのひとは、胆力がある」とか「肝っ玉が坐った人だ」とかいいますが、それは多分ここから来ているのではないでしょうか。
また、五臓六腑の臓は、内臓の働きと精神的な作用を持っていますが、腑にあたるところは隙間みたいなものでものを貯えたりする部分にはなっていますが、胆以外に精神的な作用を持つものは、ほかの腑にはあまり見当たりません。
このように、中医学の肝や胆は西洋医学の肝臓と胆のうの概念に比較的近いのですが、相違する部分もかなりあります。
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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)
◆虎ノ門漢方堂◆
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◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。
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