現代の西洋医学では、以前には想像もつかなかった優れた診察法や検査法がいろいろ開発されております。例えば、胃カメラでは胃の中を見れますし、超音波検査では肝臓や腎臓の様子を知ることもできます。さらに、CTやMRIなどでは人体の内部を画像として表わすことさえできます。

しかし、あまりに細部まで調べられるようになったことで病人よりも病気自体に関心が行き過ぎてしまい、「病気は治ったが、患者は死んでしまった!」などというおかしな話まで囁かれるようになってしまっていることも事実です。

患者さんの中には、病気を完全に治したいという方だけでなく、たとえ病気は治らなくてもある程度楽に生活できればいいと考える方もおられます。

また、どんなに臨床検査のデータがよくても、体調が悪く不快な症状があるというときもあります。そういうときには、西洋医学よりも東洋医学の診察や治療が力を発揮することになります。

その理由の一つとして、「東洋医学が健康というものを定義することから始まっているのに対して、西洋医学は病気を定義することから始まっている」ということが考えられます。

また、「Dr.コトー診療所」というテレビドラマで、「医者は病気を見るのではなく、病人を診るのです。10人の同じ症状の人がいたら、十通りの治療法があるんです」とコトー先生が言っておりましたが、これは診療をしていく上で本当に重要で大切なことです。

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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)

◆虎ノ門漢方堂◆
〒915-0813 福井県越前市京町3-1-26
TEL 0778-22-2371



◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。

※この記事の著者、城戸克治のプロフィールはこちら