第65回 「出産は命がけのことだった」

今から150年ほど前の西洋医学は衛生概念などほとんどない状態に置かれており、特に外科の領域は混乱と失望の大変な世界だったようです。

例えば、外傷や手術を受けた後に患者が発熱し患部に膿が溜まることは当然で傷が治るためには必要なことだと考えられており、1867年イギリスの外科医リスターが石炭酸の水溶液を用いて手や傷口および器具などを消毒する防腐法を提唱し普及させるまで、病院の中を清潔にする・手術はできるだけ清潔に行うといった現在では当たり前の方法を、何百年も誰も考えつくことができなかったのです。

それまで、病院内では壊疸(えそ)や敗血症などが蔓延していたのにもかかわらず、長い間何の手立ても打たれずに多くの人々がその犠牲になり続けていたのでした。※リスターの防腐法が発表されてからも、有名な医師たちはその本質を理解しようとせず防腐法を採用しなかったために本来助かるべき人々の生命まで失われていきました。

このように、検証もせずに判断していたため、解決の方法を見つけることができなかった例は人類の歴史上たくさんあります。SARSについても、現実に日本や韓国では1人の発症者もでていないわけですから、邱先生が唱えられた海草予防説も検証してみる価値は十分にあるのかもしれません。

なお、リスターが提唱した防腐法によって救われた人々は数知れず、歴史上の戦争で死亡した人々の総数よりもその数ははるかに多いといわれています。※防腐法の概念は、リスター以前にオーストリアの産婦人科医 ゼンメルワイスによって発見されましたが、彼の業績は周囲の医学会では認められず、彼の人生と共に葬り去られてしまいました。しかし現在では消毒法及び院内感染予防の先駆者としての業績が認められ、「院内感染予防の父」「母親たちの救い主」と讃えられています。

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