中国は衛生状態が悪いから、生水を飲むと下痢をするとよくいわれます。しかし水が不衛生というだけでなく、水の性質が硬水という理由も大きいと考えられます。

一般に、硬水とは水の中のカルシウム・マグネシウムなどのミネラル分の多い水のことを指し、少ない水は軟水と呼ばれます。全硬度(ミネラルの含有量)で分類しますと、14以上を硬水・8程度を中硬水・3以下を軟水とします。また、硬水は飲むと便が軟らかくなる傾向があるので、日本人のようにいつも軟水を飲んでいる者は硬水に慣れるまでは少し軟便や下痢気味になることが多いようです。

硬水と軟水では、漢方薬などを煎じる場合や紅茶やコーヒーなどを入れるときにも少し勝手が違ってきます。例えば、日本と中国では漢方薬に使う生薬の量がかなり違うのですが、その理由は日本は軟水で成分が抽出されやすく生薬の量が少量でよいためと主に考えられております。同じ理由から、日本では紅茶やコーヒーを入れるときの茶葉や豆の量も少なくて済むようで、味も美味しくなるという話です。※神戸の宮水という、井戸水で淹れる紅茶やコーヒーが格別に美味しいのは、宮水が特に軟水寄りの水であるからです。

また、ご飯を炊くときも一般的に軟水がよいとされています。なぜなら、硬水に多く含まれるカルシウムには食物繊維を硬化させてしまう働きがあり、炊き上げたご飯がパサついてしまうからです。

しかし、日本で作られている洗剤や石っけんは軟水に対応しているため、硬水がほとんどを占める海外では使用してもほとんど汚れが落ちないそうです。

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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)

◆虎ノ門漢方堂◆
〒915-0813 福井県越前市京町3-1-26
TEL 0778-22-2371



◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。

※この記事の著者、城戸克治のプロフィールはこちら