塩からい味のものは、西洋医学では高血圧や動脈硬化によくないとされています。また、胃潰瘍や胃ガンの誘因にも繋がるという話もあります。

しかし、塩分は身体に必要不可欠なものであり、不足すると水分や体温の調節・脳への情報伝達・筋肉を動かすことができなくなってしまいます。

塩分の必要量は、気候や食生活および人種によっても違ってきます。西洋人と日本人とでは、菜食が多い食事や湿度の高さなどから考えて、日本人のほうが塩分を多く取る必要があるといわれています。

中医学では、塩からい味のものは腎の働きを養う・下降させる・硬いものを軟らかくするなどの性質があると考えられています。したがって、便が腸の中で固くなって便秘していても塩からいものを食べると便秘が解消することがよくあります。

例えば、酸化マグネシウムや硫酸マグネシウム・硫酸ナトリウムなどの塩類性の下剤は病院でもよく使われますが、その作用の仕組みは腸内の浸透圧が高まり、腸内の内容物が水分を多く含むようになることに由来します。

昔から日本人は極端な考え方をしがちですが、適度な塩分の取り方は身体を守るためにも必要なことです。

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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)

◆虎ノ門漢方堂◆
〒915-0813 福井県越前市京町3-1-26
TEL 0778-22-2371



◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。

※この記事の著者、城戸克治のプロフィールはこちら