第60回 SARS予防薬、上海では?

中医学による新型肺炎の予防薬に関して、上海のグループは現在の中国全体でひっ迫した生薬の需要の状況を考慮して、一般向けに、国家中医薬管理局の処方案よりもさらに生薬の種類を減らしたシンプルな処方を提案しています。

☆SARS予防用処方(上海案)  黄耆15g  白朮9g  防風9g  陳皮6g  貫衆9g

この処方の内容を見てみますと、シンプルですがとても合理的に作られています。

まず、前の部分の黄耆(おうぎ)・白朮(びゃくじつ)・防風(ぼうふう)の3つの生薬のグループは、以前このコラムでお話したことのある玉屏風散(ぎょくへいふうさん)と呼ばれる中国の有名な漢方薬の内容と同じものです。この漢方薬は、皮膚や粘膜を引き締めて、さらに衛気と中医学で呼ぶバリアーのようなものを体中にはりめぐらして、ウィルスなどの病原菌が体内に侵入することを防いで風邪や感染症を予防するといわれています。

次の陳皮(ちんぴ)は、みかんの皮を干したもので気の流れ・胃腸の働きをよくする作用があり、さらに、体の水はけにも効きます。(みかんの皮は古いものほど良いとされており、古いという皮という意味で陳皮と呼ばれています。)

貫衆は虫下しにも使いますが、今回の場合は板藍根のように清熱解毒薬的な意味で加えてあるのでしょう。現在のところ、上海は広州や北京と比べてSARSが沈静化している地域とされています。

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