人間は甘いものでも辛いものでも苦いものでも酸っぱいものでも、何でも食べます。しかし、アメーバーやゾウリムシなどの単細胞の生物は、苦いものや酸っぱいものを近づけると逃げるといわれています。おそらく、辛いものでも同様の結果でしょう。※甘味・酸味・苦味・辛味・塩味の五味の中で、辛味は味覚ではなく痛覚であるそうですから、取りすぎは危険なのでは?という疑問もでてきます。
中医学でいえば、辛味は発散させる・温める・流動させる・上昇させる・肺の働きを養う・血流をよくする・食欲を増進させるなどの作用を持つとされていますが、あまり取りすぎるとその発散作用のために体液や気力までも消耗してしまうといわれています。
韓国など寒さがきびしいところは、皮膚や毛穴も引き締まっていますから少々発散させても大丈夫だと思いますが、それほど寒くないところや温かい季節では発散しやすくなるため、辛いものの取りすぎは控えたいものです。もちろん、夏場に辛いものを適度に食べることは発汗して体温を下げたり腸内の腐敗防止の意味でも、体に悪いことではありません。
食べものでいえば、ネギ・生姜・シソ・にら・ラッキョウ・にんにく・酒などは辛くて体を温める性質を持ち、サトイモは辛いけれど体を温めも冷やしもせず、ハッカは辛くて熱を冷まします。ですから、体が冷える風邪には生姜湯やネギのスープなどの辛くて体を温めるものがよく、中医学で温病といわれるインフルエンザなどの高熱がでる風邪には体が冷やすハッカなどの配合された銀ギョウ散などの漢方薬をよく使います。
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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)
◆虎ノ門漢方堂◆
〒915-0813 福井県越前市京町3-1-26
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◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。
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