第48回「弘法大師のお札」

日本で心臓の漢方薬といえば、「救心」や「六神丸」が有名ですが、その成分の中には牛黄(ゴオウ)と呼ばれる牛の胆石が含まれています。牛黄は、生薬の中で最も高価なものの一つで、価格が金の約3倍もします。昔から大変貴重なものとされ、牛黄が見つかった場合には朝廷へ献上しないと死刑にされたという伝説まであったようです。

また、人間や他の動物の胆石では効果がないのかというと、そんなことはなく、牛には及ばないまでもある程度の効果があるそうです。しかし、馬と鹿の胆石はまったく効果が無く、役に立たない者を指す言葉として、馬鹿が使われるようになったという逸話が残っています。※牛黄は人の役に立ちますが、人の体内に牛黄みたいなものが出来るのは医学的によいことではありません。

「どんなつらい症状でも、弘法大師のお札を舐めればたちまちよくなった」という伝説が各地に残っておりますが、その秘密は墨に牛黄を混ぜて書いたからだそうです。現在でも、紀州の熊野大社にお参りに行きますと、少し値段は張りますが、「牛印」というお札が売られております。実はこのお札も、弘法大師のお札と同じように牛黄を混ぜた墨で書かれ、ご利益が抜群のようです。

薬屋の世界では、牛黄は心臓だけでなく、万能薬のような扱いを受けており、世界一有名な漢方薬である「北京同仁堂の牛黄清心丸」の中にも配合されています。しかし続けて服用すると、「身体から氣が抜けてしまう」副作用があります。※牛黄の味は、苦くて少々甘いです。

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