通常、食べ物から吸収され血液中に取り込まれた糖分は、すい臓から分泌されるインシュリンの働きによって、細胞の中へと運ばれエネルギーとして利用されます。

このとき、血液中のカリウムも実は、糖分と一緒に細胞の中へと運ばれていきます。つまり、糖尿病のようにインシュリンの分泌量が不足したり、すい臓の働きが衰えている状態では、血糖値だけでなく、血液中のカリウム濃度も正常値より高くなっている可能性が考えられます。

一般に、糖尿病に罹ると身体が疲れる、根気がなくなる、だるいなどの症状が現われてきますが、主な原因は、糖分が細胞へとスムーズに運ばれなくなって起きたエネルギー不足の状態によるものです。しかし、上記のような血液中のカリウム濃度上昇による神経や筋肉への刺激不足の影響があることも、否定はできません。

また、病院などで糖尿病の診断が下されると、カロリーを落とすように厳しい食事制限や運動療法が課されるときがあります。しかし、あまりに厳格な糖分の補給制限やヤミクモな運動は、低血糖による事故に繋がる恐れがあります。

特に気をつけて戴きたいのは糖尿病の薬を使用している方々で、血糖値が50mg/dl以下の状態に陥ると脳の中のブドウ糖が急激に減少して昏睡状態を呈するようになることを考慮すれば、過度の減量、食前・空腹時など血糖値が大幅に低下している時間帯の運動や散歩は、やはり厳禁と考えるべきでしょう。

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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)

◆虎ノ門漢方堂◆
〒915-0813 福井県越前市京町3-1-26
TEL 0778-22-2371



◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。

※この記事の著者、城戸克治のプロフィールはこちら