東北、宮城県塩釜市の桂島で、ゴールデンウイーク恒例の潮干狩りのイベントが急遽、取り止めになったという気の毒なニュースが報道されていました。干潟のアサリが、“天敵”である「サキグロタマツメタ」という肉食性の巻き貝に食い荒らされ、壊滅的な打撃を被ったことが原因だそうです。

アサリは、鉄分やビタミンB12が豊富で貧血、低血圧などの症状の改善に効果がある、また、貝特有の旨み成分であるコハク酸も多く含まれている人気の貝ですが、不思議なことに、料理法は酒蒸し、佃煮、深川めしなどの加熱して食する場合がほとんどで、生食用のアサリは見かけたことがありません。理由は、アサリにはビタミンB1の分解酵素が含まれているため、加熱して食べないと“脚気”になる恐れがあるからでしょうか。

脚気とはビタミンB1欠乏による栄養失調の一種で、足のむくみや神経痛に似た症状から始まりますが、進行すると心臓マヒを起こすこともある危険な病気です。

昔は栄養不足によるビタミンB1欠乏が脚気の原因でしたが、現在は、清涼飲料水やインスタント食品の取り過ぎによるビタミンB1の消費量の増加が原因で、脚気の罹患率が再び上昇してきているようです。

※潮干狩りのイベントが中止になったというニュースを見て、なぜか、アサリと脚気を連想してしまいました。

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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)

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◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。

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