先日、カリウムの不足が身体によくないという話を致しましたが、血液中のカリウム濃度の正常値は3.5~5.0mEq/l で、5.5mEq/l 以上(高カリウム血症)になると逆に人体に悪い影響を及ぼし始めます。
血液中のカリウム濃度が正常値より高くなる原因として、野菜、イモ類、果物(特にドライフルーツ)、ナッツ類、肉、魚、玉子、牛乳などのカリウムを多く含む食品を過剰に摂取した場合、急性および慢性の腎不全などで腎臓からのカリウムの排泄量が低下した場合、細胞内のカリウムが何らかの理由で細胞の外へと漏れ出した場合などが主に考えられます。
以前、阪神大震災で“クラッシュ症候群”というものが救急医療の面で大きな問題になりましたが、それも、足や腹部の筋肉が長時間圧迫されて壊死や損傷を起こし、壊れた筋細胞からカリウムが多量に流出したことが原因です。また、交通事故や怪我などによって、筋肉が大きなダメージを受けた場合も同様に、高カリウム血症が発症するケースがあります。
高カリウム血症になると筋肉や神経系に異常が生じやすく、筋力の低下・脱力感・シビレ・麻痺などの症状がしばしば認められます。しかし、何といっても怖いのは、心筋に伝導障害が起こって心臓が心停止などの危険な状態に陥ることです。
現在、野菜不足解消ということで、野菜ジュースや青汁などが大きなブームになっておりますが、中にカリウムも多く含まれているため、使い方によっては、危険な場合があることを頭の片隅に置いておいてください。
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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)
◆虎ノ門漢方堂◆
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◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。
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