「いつも身体がだるい、食欲が出なくて困る」夏場にスポーツなどで大量に汗をかくと、こうした症状すなわち夏バテが非常に起こりやすくなります。どうして、大量の汗をかいたら夏バテがひどくなるのかといいますと、汗と一緒に多量のミネラルが失われるからです。

特に、カリウムが不足すると、骨格筋や心臓の筋肉に悪い影響を及ぼすだけでなく、内臓の筋肉の収縮力も低下してしまい胃や腸の動きがままならなくなって腹部膨満感、嘔吐、便秘、食欲不振などの症状が発生しやすくなります。

最近、バナナの話ばかりが続きまことに恐縮ですが、バナナはカリウムが非常に多い果物で、100グラムあたりの量を調べてみるとバナナ 390mg、いちご 200mg、みかん 150mg、りんご 110mgというふうに、ダントツのカリウム含有量を誇ります。

“真土不二”とよばれる「人間は、自分が生活する環境の範囲内で食べ物を調達すべき」という有名な養生法の大原則がありますが、簡単に説明しますと、地元で取れた食べ物を摂らなければその風土に合った本当の身体造りは出来ないという意味です。

つまり、汗をよくかく南国の人々には、りんごのように寒い土地で取れる食べ物よりも、バナナやスイカ、瓜などのようなカリウムを多く含んでいる南国原産の食べ物のほうが身体にとって相性がよいということになります。

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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)

◆虎ノ門漢方堂◆
〒915-0813 福井県越前市京町3-1-26
TEL 0778-22-2371



◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。

※この記事の著者、城戸克治のプロフィールはこちら