最近、バナナは免疫力を高める働きを持つ果物として注目されています。先日も、その熟成の度合いと免疫力との関係を調べたところ、新鮮なものより熟したバナナのほうが免疫力を高める効果が大きいという話がインターネットの記事に掲載されていました。
その記事によれば、店で販売しているものと同様にエチレンガスで熟成処理したバナナから抽出した成分を、マウスの腹部に入れて白血球の数や免疫力を高める生理活性物質の量を実験で測定すると、日数がたったバナナほどそれらの数や量が多く見られたそうです。
例えば、処理してから10日目のバナナは、1日目のバナナに比べると白血球の数が5倍以上も多く増えており、生理活性物質の量は5日から7日目のバナナが最も多い実験結果が出るそうです。
しかし、よく考えてみれば、この実験方法には“初歩的な誤り”がある可能性があります。なぜなら、この記事を読むと抽出した成分をマウスの腹部に直接入れてしまっているような意味にも受け取ることができるからです。
通常、バナナは口から食べるもので、腹部に注入するようなものではありません。バナナの場合はどうかは分かりませんが、こうした間違った設定の仕方をすると、実験でいくらよい結果が出たとしても臨床的には、ほとんど意味をなさないことが多いものです。
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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)
◆虎ノ門漢方堂◆
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◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。
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