“痔”は、人にあまり知られたくない病気の1つです。世間一般では、オジサンが罹る病気というふうなイメージが強いようですが、意外と若い女性の患者さんが多く、皆さん、お尻が痛くて出血しても、恥ずかしくて我慢しているケースが見受けられます。

痔は、大きく分けると3種類に分類できます。

最も多いのが“痔核(いぼ痔)”で、肛門の血管が部分的に腫れてイボ状になったものです。肛門の内側にある歯状線を境にして、外側にできたものを外痔核、内側にできたものを内痔核と区別しています。内痔核は痛みが少ないが出血を起こしやすく、外痔核は出血は少ないが痛みがきついという臨床的な特徴があります。

肛門の縁から約1.5cmまでの部分は、表面が皮膚によく似た組織で覆われています。この部分を肛門と呼び、ここにできた傷を“裂肛(切れ痔)”と言います。硬くなった便が出る時に肛門が裂けることが主な原因ですが、皮膚によく似た組織で覆われているため、出血を起こしても、大抵の場合は少量で治まります。

つまり、皮膚に近い部分ほど痛覚が鋭く、粘膜に近いほど出血量が増える傾向があり、痛みや出血の程度を聞けばある程度の状況把握が可能ということです。

肛門の内側の傷が化膿していつまでも治らずウミが出ている状態を“痔ろう(穴痔)”と呼んでいます。また、肛門の周辺に膿がたまった状態を「肛門周囲膿瘍」といい、肛門の周りが腫れ熱が出て激しく痛みます。

通常の場合、自己治療で治せるのは、いぼ痔と切れ痔までの状態です。痔ろうの状態になると細菌感染を起こしているため、抗生物質による治療が必要になります。

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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)

◆虎ノ門漢方堂◆
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TEL 0778-22-2371



◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。

※この記事の著者、城戸克治のプロフィールはこちら