先日、東京の病院で、患者が通常の3倍以上の速さで薬を投与され、その直後に死亡する医療事故が発生しました。
関係者によると、患者は肺気腫で入院。通常は10時間以上かけて点滴する血圧上昇剤を約3時間ほどで投与され、患者は数時間後に死亡したという話です。
血圧上昇剤は、高血圧の薬とは逆に、体内の末梢血管を収縮して血圧を上昇させる仕組みなのですが、あまり短時間で投与すると、血管が急激な収縮を起こして全身の血液が流れにくくなってしまいます。
現在、眠くならない風邪薬として葛根湯のコマーシャルがテレビなどでバンバン放送されていますが、葛根湯に含まれている生薬の麻黄(マオウ)にも血圧を上昇させる作用があります。
また、葛根湯を飲んで眠くならないのは、麻黄が神経を興奮させているからです。つまり、極端なことをいえば、葛根湯は身体を覚醒した状態にするため、風邪が治ったように錯覚してしまうわけです。
一般の方は、漢方薬は自然の薬草から作られているから安全だと思っておられますが、中には麻黄のような使い方に注意しなければならない生薬が含まれている場合があります。
高血圧の方、心臓に病気がある方、身体が丈夫でない方、胃腸が弱い方、スポーツをしている方、コーヒーが好きな方・・・葛根湯の使用には十分、気をつけて下さい。
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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)
◆虎ノ門漢方堂◆
〒915-0813 福井県越前市京町3-1-26
TEL 0778-22-2371
◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。
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