「オレオレ詐欺」の手口は日々、進化しています。そのため、テレビや新聞などでどれだけその被害が報道されていても、被害が増えることはあっても一向に被害が減少することがありません。しかし、手口は進化していても、注意深く観察してみると、その手口には一つの傾向があるようです。
1. これまで、高齢者の方が多く狙われていましたが、現在、被害者で最も多いのは50代の女性。電話は、午前10時から午後2時ぐらいの間に、自宅で一人でいる時にかかってくることが多い。
※銀行や郵便局の閉店前の時間帯で、相手にゆっくり考える余裕や家族などに相談する時間を与えないため、また、その日のうちに振り込みをさせてしまうため。
2. 電話の内容といえば、孫や息子、配偶者などを装った人物が「交通事故を起こした」「事件を起こした」といった加害者になることで、示談金・賠償金・修理代・妊娠中絶費用などを「至急、銀行に振り込むように」というものです。
※お祝い事の費用やこちらが被害者になるという話は今のところ、ほとんど聞いたことがありません。
3. 以前のように、「オレ、オレ」とは言わない。警察官、弁護士、教師、医師など社会的信用のある肩書きを語ることが多い。一般の人が一生に一度会うかどうか分からないような、衝撃的な内容の事故や事件の話をして気を動転させ、正常な判断力を奪ってしまう。
※孫や息子の泣き声を聞かされてしまうこともある。
以前にもお話しましたがここ数年、私たちの業界で非常に大きな問題になっているのは、「国際中医師」「漢方中医師」などの医師と紛らわしい名称を名乗って、あたかも自分が医師であるような錯覚を与える記事風の広告をテレビや新聞に出したり、インターネットなどで宣伝している人たちが増えてきていることです。
例えば、国際中医師という肩書きは日本でも、世界中の国々でも医師ではなく、発行元の中国でも医師の資格を意味するものではありません。(漢方中医師も、同じような類いのものです。)読者の皆さん、こうした一種の「語り商法」にはくれぐれも騙されないように、ご注意下さい。
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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)
◆虎ノ門漢方堂◆
〒915-0813 福井県越前市京町3-1-26
TEL 0778-22-2371
◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。
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