風邪の予防に、「総合感冒薬」いわゆる風邪薬を使用する方がおられますが、それは非常に危険な行為です。なぜなら、風邪薬に含まれている成分は、風邪を予防したり治したりするものではなく、熱や頭痛、せき、鼻水など、風邪の症状を緩和する目的の解熱鎮痛剤・せき止め薬・鼻炎薬をまとめ合わせたものだからです。

テレビや新聞、雑誌などで毎日、激しく繰り広げられている製薬会社の広告宣伝を見ていると、あたかも風邪薬が風邪を予防したり治してくれたりするような錯覚につい陥りそうになりますが、何度もいいますように、風邪を治す成分は一切入っておりません。

また、風邪薬の効能書きをすみずみまで詳細に見回してみても、かぜの諸症状(鼻水、鼻づまり、くしゃみ、のどの痛み、せき、たん、悪寒、発熱、頭痛、関節の痛み、筋肉の痛み)の緩和、いうふうにしか書かれておりません。

以前にもこのコラムで書きましたが、日本語は非常に曖昧な部分のある言葉です。例えば、日本では「誰も見ていなかった」といった表現の仕方をしますが、他の国々ではほとんどの場合、「私は見ていたが、 そのほかの者は見ていなかった」などの客観的な表現方法を用います。

つまり、私が言いたいのは、総合感冒薬とか風邪薬という曖昧な商品名を使うのをやめて、風邪薬の誤飲や誤用を防ぐ意味でも、「解熱鎮痛・せき止め・鼻炎 混合剤」といった名称を用いるべきではないかということです。

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◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)

◆虎ノ門漢方堂◆
〒915-0813 福井県越前市京町3-1-26
TEL 0778-22-2371



◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。

※この記事の著者、城戸克治のプロフィールはこちら