冷たい牛乳を飲めば腸が刺激されて便通がよくなると、一般には思われておりますが、逆効果になる場合が幾つかあります。

例えば、ウサギの糞のようなコロコロした便が出ている場合は、主に腸が緊張して便が出にくくなっている状態ですから、冷たい牛乳を飲めば腸はますます緊張してしまい余計に便は出にくくなってしまいます。

また、便秘薬を飲む場合でも、通常は水でなく牛乳で飲んでも効き目が落ちることはまずありませんが、腸溶錠という種類の便秘薬に限っては、牛乳と一緒に飲むと効き目は相当悪くなってしまいます。

腸溶錠とは、胃では溶けずに腸で溶けるように、錠剤の表面を処理してあるものです。胃は酸性で、腸の中はアルカリ性のため、アルカリ性でないと溶けないように特殊な皮膜で錠剤をコーティングしてあります。

腸溶コーティングされている便秘薬のほとんどは、刺激性下剤というタイプの便秘薬で、大腸の粘膜に直接作用して効果を現します。しかし、アルカリ性である牛乳で服用すると、腸に到達する前に胃で錠剤が溶け出し効果が半減したり、腹痛などの副作用を起こすことがあります。

コーラック、スルーラックS、ピオピコ錠などが腸溶錠タイプの代表的な便秘薬ですが、牛乳以外にも、重曹などの制酸剤を含む胃腸薬、アルカリ性の食品を摂取した場合は、一時間は間隔を空けて飲まれたほうがよいでしょう。

虎ノ門漢方堂のダイエットとは
更年期障害・自律神経失調症・鬱
腰・肩・関節・ひざの痛み・リウマチ

友だち追加

◆城戸宏美◆ プロフィール
元福井大学医学部付属病院看護師・登録販売者
(福井県立大学・武生高校卒)

◆虎ノ門漢方堂◆
〒915-0813 福井県越前市京町3-1-26
TEL 0778-22-2371



◆ この東洋医学のコラムは、虎ノ門漢方堂の薬剤師 城戸克治が、直木賞作家 邱永漢さんの依頼を受け、ほぼ日刊イトイ新聞の分家サイト「ハイハイQさん」に約3年間に渡り連載した医師/薬剤師向けの「中医学事始め」を一般の方向けにわかりやすく解説したものです。

※この記事の著者、城戸克治のプロフィールはこちら