第23回 王様の屏風(びょうぶ)

花粉症などの体質を改善する方法の一つとして、外部からの病邪の侵入を防ぐという働きと気候などの外部環境に適応する働きを持つと考えられている中医学で「衛気(えき)」という体の表面を覆っている膜のようなものを強化するやり方があります。そして、その衛気の強化には、屏風(びょうぶ)のように病邪を防ぐといわれる「玉屏風散(ぎょくへいふうさん)」という漢方薬をよく使います。

名前の通りに、病気から体を防御してくれるこの薬は、弱った衛気を強化するために中国ではよく使われていますが、最近日本にもようやく輸入されるようになりました。また、この薬は、防風(ぼうふう・・・正月のお屠蘇にも入れます)白朮(びゃくじゅつ・・・オケラのことです)黄耆(おうぎ)の三種類の生薬から構成されており、これらはどれも温性であるため、「冷えが原因のタイプ」に主に使われます。

「熱が原因のタイプ」には、板らん根などの清熱解毒の作用を持つものを玉屏風散に併用して対処するようにしたり、または、「衰えている免疫機能は増強し、過剰な免疫反応は抑制するという『免疫を調節する働き』」を持つ「食用蟻(アリ)」を使ったりします。

特に、現代の日本のように冷暖房が完備された環境は皮ふや粘膜の持つ環境適応能力を退化させやすく、アトピー性皮ふ炎や花粉症・ぜんそくなどのアレルギー疾患が増えてきた原因の一つになっているのかもしれません。そして、そう考えれば乾布摩擦なども衛気を強化する方法の一つといえますから、あながち非科学的なものではないといえるでしょう。

また、風邪などの場合に、お風呂に入るのは良いのか・悪いのかという議論がありますが、汗をかくことは衛気の損傷にもなりますので、加減することが必要となるでしょう。さらに、「汗は心臓の涙」ともいわれていますから、汗をかき過ぎることは血圧の高い場合や心臓の悪い方には要注意になります。

現代の免疫学では、IgA抗体と呼ばれるものが花粉症に強く関係しているといわれていますが、ある意味では、これは衛気の事を指しています。そして、衛気を強くすることは、眼・鼻・のど・腸などの粘膜を丈夫にすることにも繋がります。

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