第226回 抗生物質は、熱冷ましではありません

大阪大医学部付属病院の集中治療部で、
入院患者9人が
ほとんどの抗生物質が効かない
多剤耐性型の緑膿菌(りょくのうきん)に感染し、
40代の男性がそれによる肺炎で死亡した、
というニュースが新聞で報じられていました。

緑膿菌は、
私たちの日常的な生活環境の中に
広く存在している菌で、
感染力も弱く毒性も強いほうではありません。
しかし、抵抗力の落ちた
重症患者が感染すると死亡することがあります。

これは日和見感染(ひよりみかんせん)
と言われているもので、通常の場合には
ほとんど害が無いと考えられている菌が、
病気などで身体の免疫が弱ってくると
有害な菌に様変わりして、
人体に悪影響を
及ぼすようになることを指しています。

すべての微生物は、
日和見感染の原因になる可能性があります。
例えば、移植手術をした患者さんのように、
拒絶反応を防ぐために
免疫抑制剤やステロイド剤を使って
免疫反応を抑えている場合には、
豆腐や玉子、牛乳、野菜などの
生鮮食品中に存在する
ごく一般的な微生物にさえも
気をつける必要が出てきます。

また、今回の事件では、
多くの抗生物質に耐性を持つ
多剤耐性型の緑膿菌が
問題になっているわけですが、
菌が抗生物質に
耐性を示すようになった一番の理由として、
抗生物質の多用・乱用が指摘されています。

よく勘違いされていることですが、
抗生物質には解熱作用はありません。
抗生物質の投与で熱が下がることがあるのは、
熱の原因となっている病原菌が
抗生物質によって
活動を停止したり死滅するからです。
決して、抗生物質自体に
解熱作用があるわけではありません。

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